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DC電源のラッシュカレント?

ラッシュカレントと決めつけないほうがいい
直流電源の機器で「ラッシュカレントが流れるから何とかしてくれ」とか「機種名○○の電源に入っている大容量の電解コンデンサーを外してくれ」などというお問い合わせを頂きます。
殆どのケースではラッシュカレントに対する対処をしても問題は解決しません。
症状は機器を繋ぎ(1)ACアダプターのAC電源を投入すると機器が始動しない。→(2)電源を調べると電源電圧が立っていない。→(3)ラッシュカレントにやられている。
(2)から(3)への解析に飛躍があり,この考えは間違っております。ACアダプターのAC電源を投入しておいて後から機器のDCラインを繋ぐと多くの場合,再現しません。
直流ラインのデカップリング・コンデンサー(パスコンとも言います)への突入電流は存在しますが,これが原因で機器が始動しないつまりACアダプターの電圧が立たないのではありません。
大容量パスコンを小容量にすれば症状が治まる場合はありますが数量を生産すると確率が減っているだけで完治できていないことが判明します。
以下のグラフで説明します。
定格12V・10ワットの定電力特性を持つ機器の負荷特性とACアダプター
まず直流電源機器の負荷特性は多くの場合,定電力特性を持ちます。
内部にスイッチング式の定電圧電源・つまりVRM(ボルテージ・レギュレーター・モジュール)を持っている為,信号系回路への供給電圧を一定に制御し,入力電圧の変動に耐える様に設計されています。
信号系回路の負荷電流は動作条件により変動しますが機器の電源電圧からの影響は受けず,動作条件が一定なら負荷電流も一定となりますので回路が消費する電力も一定となります。
LEDを駆動するスイッチング式の電源でも同様に負荷特性は定電力特性となります。
LED電源はLEDを定電流駆動しますが定電流駆動されたLEDのVfは温度により若干の変動はしますが一定の電圧となり,電流電圧共に一定なので定電力負荷特性となります。
上のグラフは定格12V,10ワットの負荷特性を示す二通りの装置と,12V定格でカレントリミッターが1.6Aに設定されたACアダプターと組み合わせた場合の三者のIVカーブです。
緑の負荷特性を持った装置は電源電圧10Vを境にリセットがかかる装置を例にとります。
一方赤の負荷特性を持った装置はリセット回路を持たず電源電圧が6Vを越えたあたりから動作を始める装置です。
両者に繋ぐACアダプターは薄青のIVカーブを有しております。
さてACアダプターの電源を投入すると電圧が瞬時に12Vになる訳ではなくゼロボルトから時間をかけ1V,2V・・・5V,6V・・・10V,11Vと上昇して行きやがて12Vに安定するものであります。
1mSで12Vに達する高速な立ち上がりを示すACアダプターもあれば1000mSかけて12Vに達するものもあります。
このACアダプターの電圧上昇は接続した装置の負荷特性カーブの0V・0Aの所を起点に1V,2V・・・5V,6V・・・と上昇して行き6Vに達した時点で(赤の例では)装置が働き始めいきなり1.7Aを消費し始めます。
この時ACアダプターの電流制限1.6Aを越えてしまい6Vから上昇することができなくなってしまいます。
少し理屈っぽい言い方をすると「動作点が二箇所存在する」・・・となります。
電流制限状態が続いた場合ACアダプターの過電流保護でシャットダウン・・つまり電圧をゼロにしAC電源を再投入しない限り復帰しないものもあります。
装置は始動に失敗するか始動しても電圧は半分,電流は倍と無理して動作を続けますので誰かが気づかなければやがて壊れることになります。
尚,この装置にスロースターターの様な始動を遅延させる回路が付いていると始動不能という危機を何とか逃れることができますが,ACアダプターの電圧上昇速度が遅い場合には装置の遅延時間が不足する可能性もあって完全な対策とは言えません。
リセット回路を持つ(緑の例)装置ではACアダプターの電圧上昇が10Vを越えた時点で電流が流れ始めますが,この時の電流は1.0AでACアダプターの電流制限値を大きく下回っているので装置は問題なく始動できます。
仮に緑の例に超大容量のパスコンが入っていたとしても時間経過と共にこのパスコンに流れる電流はゼロになり,始動を遅らせる事はあっても始動を阻害するものではありません。
得られる教訓としてACアダプターのIVカーブの内側に装置の負荷特性カーブが収まっている事が重要であると言うことであります。
また時間ドメインにとらわれたパッチは相性問題を生むことになります。
時間ドメインを無視してよい訳でもありません。
蛍光灯などの放電管の場合には時間と共に負荷特性が変化しますし,コールドスタートとホットスタートでも負荷特性に違いがあります。
リセット回路に遅延応答があってリセット解除時にラッシュカレントが流れる様な場合にも時間ドメインでの解析を加えないと解決できないことがあります。
以上ラッシュカレント問題と勘違いしやすいDC電源機器の始動不能問題をまとめてみましたが「これがDC電源のラッシュカレント問題だ!」とか「これがDC電源の始動電流問題だ!」という様な例に遭遇したことは数十年の技術屋人生で一度も無いことを付け加えさせていただきます。

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